101 : 最適多項式(*)

数列のkk個の項を与えられたときに, 次の項を確実に求めることは不可能である. その数列に合うような多項式が無限個存在するからである.

例として, 立方数の数列を考えよう. これは生成関数un=n3u_n = n^3で定義され, 1, 8, 27, 64, 125, 216, ...となる.

この数列の最初の2項のみが与えられているとしよう. "Simple is best"の法則にのっとり, 線形の関係があると仮定し, 3つ目の項が15であると予想する (差分が7). もし最初の3項のみが与えられていたとしても, 同じ原則により, 二次の関係があると仮定して次の項を予測する.

数列の最初のkk項を生成できる最適な多項式の第nn項をOP(k,n)\textrm{OP}(k, n)で表すことにする. 明らかに,nkn ≤ kについてOP(k,n)\textrm{OP}(k, n)は正しい. 最初の異なる項 (First Incorrect Term, FIT) はOP(k,k+1)\textrm{OP}(k, k+1)であろう. これを bad OP (BOP) と呼ぶことにする.

原則より, 最初の項しか与えられていない場合には, 定数項とするのが理に適っているだろう; 即ち,n2,OP(1,n)=u1n ≥ 2, \textrm{OP}(1, n) = u_1.

従って, 立方数の数列について以下のOPを得る.

OP(1,n)=1\textrm{OP}(1, n) = 1

1, 1, 1, 1, ...

OP(2,n)=7n6\textrm{OP}(2, n) = 7n−6

1, 8, 15, ...

OP(3,n)=6n211n+6\textrm{OP}(3, n) = 6n^2−11n+6

1, 8, 27, 58, ...

OP(4,n)=n3\textrm{OP}(4, n) = n^3

1, 8, 27, 64, 125, ...

(BOPを赤くする)

明らかに,k4k ≥ 4のときにはBOPは存在しない.

BOPのFIT (上の例では赤で示されている) の和は,1+15+58=741 + 15 + 58 = 74である.

以下の10次多項式からなる生成関数を考える:

un=1n+n2n3+n4n5+n6n7+n8n9+n10u_n = 1 − n + n^2 − n^3 + n^4 − n^5 + n^6 − n^7 + n^8 − n^9 + n^{10}

BOPのFITの総和を求めよ.

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